国立大学法人 钱柜国际777

本学への寄付

不規則な明暗環境が薄毛の原因になる可能性を発見

 

 地球の自転により明暗や気温など様々な自然環境因子は24時間の周期性を示します。そのため、この周期性へ高度に適応できる生物は生存競争において有利であり、実際、ほとんどの生物は約24時間周期の生物時計である「概日時計」を獲得しています。概日時計は行動生理機能において自律的なリズムを生み出し、まるで昼夜の環境変化を予測するように生物が適応することを可能にしています。
 概日時計のリズムが環境のリズムと同調している際には生物は多大な恩恵を享受することができますが、不規則な生活リズムなどにより概日時計と環境のリズムの脱同調が慢性的に繰り返されると、精神疾患、代謝疾患、循環器疾患、さらにはがんなど多様な現代疾患の原因になることが明らかにされてきました。
 钱柜国际777時間学研究所の明石真教授と理学部および大学院創成科学研究科の学生を中心とする研究グループは、概日時計と明暗環境の慢性的脱同調がマウスの体毛成長を遅らせることを発見しました。薄毛には遺伝性の要因が強く関わると考えられていますが、本研究の成果により、生活の明暗環境を規則正しくすることで薄毛の進行を遅延できる可能性があることが示唆されました。
 この成果は、2024年10月18日にiScience誌(Cell Press)に掲載されました。また、本研究は近畿大学、佐賀大学および立命館大学との共同研究として実施されました。

発表のポイント

  • 慢性的な概日時計と明暗環境の脱同調はマウスの背中の体毛成長に異常を起こした
  • この異常は体毛成長期(anagen)における体毛成長の遅れに起因することがわかった
  • この遅れは体外器官培養下においてマウスのひげを成長させた際にも確認できた

図:概日時計と明暗環境の慢性的な脱同調は体毛成長における遅れの原因になる

 

論文情報

  • 論文名:Chronic circadian misalignment is a risk factor for hair growth impairment
  • 著者名:Yoshiki Miyawaki, Atsuhiro Nishida, Keisuke Fukushima, Aoi Matsumoto, Teruki Hamano, Yukiya Mori, Mamoru Nagano, Isao T. Tokuda, Yasufumi Shigeyoshi, Koichi Node, Makoto Akashi
  • 掲載誌:iScience(Cell Press)
  • 掲載日:2024年10月18日
  • U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589004224021990#sec5
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