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坂口助教がオーストラリアで灌漑の効率化のための研究を実施中

坂口助教がオーストラリアで灌漑の効率化のための研究を実施中

 坂口助教が西オーストラリア大学(パース市)の客員研究員として、7月を通してオーストラリア北部にある産業省?熱帯農業研究所の農地で灌漑農業の効率化を目的とした研究を行っています。オーストラリア北部は熱帯サバナ気候で、気温的には通年農業が可能ですが、短い雨期以外は降雨が無いために灌漑なしには農業を行う事ができません。一方で平坦な土地が広大に広がっており、灌漑さえ行えば大規模灌漑農業を行い、大量の食糧を生産する事が可能な地域です。熱帯農業研究所が位置するカナナラ村は雨期の降雨を貯水するためのダムが建設され、広大な灌漑農地が造成された事に伴い出現した新しい居住地です。主にマンゴー、トウモロコシ、カボチャ、メロン、綿花、紅花(食用油用)が地平線まで続く農地で栽培されています。尚、第2期農地造成が計画されており、農地は更に広がる予定です。

 Fig 1は畝間灌漑の様子です。Fig 2は綿花の写真です。灌漑をしなければあらゆる作物が枯れてしまい、また灌漑水量が不足したり、不足を恐れて過剰な灌漑が行われると収穫量の減少に直結します。しかし、農地が広大すぎて農家さんが各圃場を頻繁に見て回る事ができません。そこで、Fig 3に示した、ドローンが自動飛行で各圃場の作物の葉温を観測し、また発芽したての圃場については地表面温度を観測し、各圃場のCWSI(葉温と気象条件から推定する作物の水ストレス指標)もしくは地表面温度と気象条件から推定した土壌水分を示したマップを各農家さんのスマートフォンに配信するシステムの構築を目指しています。マップを見れば農家さんは今日灌漑すべき圃場が分かりますし、もし同日に多数の圃場で灌漑が必要になってしまった場合は、数値から灌漑する圃場の優先度を判断する事ができます。Fig 4はそのための推定式や観測方法の研究をトウモロコシを用いて行っている様子です。Fig 5は研究で必要な全く水が不足していない区を設けるために、点滴灌漑設備を設置した様子です。連日8:30から17:00まで絶え間なく気孔コンダクタンスの測定などを行っていますが、Fig 6のように1時間に5分程度、椅子に座る事ができます。Fig 7の研究所内の客員研究員用宿泊施設に1か月分の水とカップラーメンを持ち込んで住んでおり、村までは15km離れているので行くことはできません。

 CWSIマッピングの方法が確立し、自動観測&自動配信システムが本地域に普及した結果、本地域の作物生産量の増加や水利用効率の向上が認められた場合には、他国の灌漑農業地帯にも同システムを普及させて世界の食糧生産量の向上に寄与したいです。Fig 8はお世話になっている研究員の方々です。
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Fig.1 畝間灌漑の様子

 

Fig.2 綿花の写真

Fig.3 

Fig.4

Fig.5

Fig.6

Fig.7

Fig.8

 

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